'74「 学習漫画 シートン動物記」について
        (2002年、記)

 1974年から翌75年にかけて、、集英社より、「学習漫画 シートン動物記全12巻」が、出版されています。全12巻のうち、4巻を、谷口ジロー氏が、本名 谷口治郎名義で、描いています。
 
 原作 アーネスト・T・シートン
 監修 藤原英司
 漫画 谷口治郎

と、なっています。

 ひょっとすると、ちょっとオーバーな言い方ですが、「谷口ジロー氏初のマンガ単行本」ということになるかもしれません。しかも、書き下ろし・・・・・。(もっとも、他にも、この「学習漫画」のような作品があるかもしれませんが・・・・・。)



 3人の、漫画家で、全12巻です。(1974年5月より、毎月1冊配本されているようです。)内訳は、

 第1巻) 狼王ロボ         「谷口治郎」  1974.5月
   2 ) 灰色グマの一生      松田辰彦       
   3 ) 北極ギツネの伝記    高山よしさと      
   4 ) 裏町の野良ネコ     「谷口治郎」   74.8月
   5 ) カラスの大将 銀の星  松田辰彦
   6 ) あばれザルのジニー   高山よしさと   74.10月
   7 ) 白いトナカイの伝説   「谷口治郎」
   8 ) 銀ギツネの伝記      松田辰彦
   9 ) だく足の野生馬      高山よしさと
  10 ) 少年とオオヤマネコ   「谷口治郎」
  11 ) イノシシのあぶく坊や   松田辰彦   1975.3月
  12 ) サンドヒルの雄ジカ    高山よしさと

 発行の、経緯は、全く不明ですが・・・・。71年(S46)の、「シートン動物記」(集英社)藤原英司氏の訳本、全8巻(別巻1)から、ストーリーを、選んで、漫画化したのと、考えるのが、自然でしょう。(ちなみに、単行本「ブランカ(祥伝社版)第2巻」の、あとがきに、この「シートン動物記・藤原氏訳・集英社版」の、一部が、引用されています。)

 カバー記載の、紹介文を、引用すると・・・・・。
「・・・・・・・こんど初めて、漫画形式の本が、すぐれた漫画家たちの協力で、できあがりました。・・・・・・・動物学的にも、時代背景の点でも、十分検討がおこなわれ、シートンが書いた動物たちのすがたが、正しく表現されるよう、こまかい配慮がなされています。」



 わたしは、まだ、全部「確認」したわけだはありませんが、「第1巻 狼王ロボ」と、「第4巻 裏町の野良ネコ」を、入手しました。

 読んでみると、「普通の学習漫画」、例えば「漫画 日本の歴史」「漫画 世界の歴史」などと、比べると、漫画家の、裁量に、任されている部分が大きい・・・・。言い換えると、「原作・シートン 作画・谷口氏」という趣の本です。
 「小学上級〜中学生むき」となっていますが、コマわり・セリフなど、劇画調で、大人が読んでも、遜色ありません。



 「第1巻狼王ロボ」は、「極悪の狼の王者ロボと、捕獲しようとするシートンの、戦い」を描いています。

 アメリカ、ニュー・メキシコ州、1897年。牛や羊などの家畜を、次々と襲うオオカミの「ロボ」とその手下合わせて5頭。多くの農場主・ハンターや、「シートン」のかけた餌や罠にも、全くかからない・・・・・。最後にシートンは、妻の「ブランカ(!)」を、捕らえ、彼女を、おとりにして、ロボを、捕らえることに成功する。そして、死んだロボを、ブランカの死体の近くにおいて「いっしょ」にしてやる・・・・。

 谷口氏の、マンガには、多くの犬やオオカミが、登場します。これは、その原点となる作品と思われます。とくに、「ブランカ」は、この作品から、発想されていると思います。単行本「ブランカ(祥伝社版)第2巻」の、あとがきにも、

「 BLANCAとは“白”を意味する。
 このタイトルはシートン動物記の「狼王ロボ」に登場する白い狼の名を借りた。(物語では雌狼だったのだが)
 その名前の響きからイメージが広がり、白く果てしない極北の大地を走る、わたしの“ブランカ”が生まれた。」

と、記しています。

 ちなみに、先にも述べたように、谷口氏の作品には、多くの犬やオオカミが、登場しますが、本当に「悪役」として、出てくる場合は、ほとんどありません。この「狼王ロボ」の解説にも、

「オオカミは、もともと、野生のシカやバイソン(野牛)などを狩って暮らしていました。ところが、人間は、シカやバイソンをどんどん殺しました。・・・・・たべるえさがなくなったオオカミたちは、しかたなく、牛や羊などを襲いはじめました。・・・・・」

 と、記されています。



 「第2巻 裏町の野良ネコ」は、野良ネコの『にゃん子』が、兄弟を殺されたり、母と逸れたり、人間の『ネコの品評会』に出されたり、恋しをし生まれた子供を、殺されたり・・・・。『にゃん子』の、冒険を描いています。

 なお、この物語に、『にゃん子』が、知らない遠い場所から、故郷に帰る場面、いわゆる「帰巣性」が、描かれており、この場面も、谷口作品「ブランカ」にも、生かされているのかもしれません。



 なお、「シートン動物記」は、アーネスト・シートンの、動物物語を、集めて、日本で、命名された、題名だそうです。小説は、多社からでており、絵本や、テレビアニメにも、なっているそうです。

 マンガ版は、有名なところでは 白土三平・石川球太・川崎のぼるなどが、描いています。



 余談ですが、シートンは、1860年8月14日生まれ、谷口氏は、1947年8月14日生まれで、誕生日が同じです。そして、シートンが、亡くなったのは、1946年で、谷口氏の生まれた年の、前年です。



 「谷口版」、あと2冊どうしても、手に入れたい(!)と思うのですが、本の性格上、なかなかみつかりません。

 手に入れた方、ぜひ、御一報願います!!








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からでした・・・・。





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