「石川球太(人)」氏、
および谷口先生アシスタント時代について」

 「石川球太」氏は、たいへん絵のうまい、漫画家であった。

 谷口ジロー先生が、66年から72年ほど(約6年間!)、アシスタントをされていた、「石川球太」氏である。

 わたしは、リアルタイムでは、「牙王」しか知らない。しかし、その「自然・動物」の描写の、鋭さは、今でも覚えている。
 10年ほど前、漫画収集家でもある、ある「漫画喫茶」のマスターに、「少年ケニア」(だったと思う)を、見せていただいた。その時代(1961ごろ)の絵としては、絶品であった。



 谷口先生も、「絵の上手いマンガ家」、「物語づくりや演出法、そしてデッサン力の優れた絵のレベルの高い才能豊かなマンガ家」、「思い切りのよい圧倒的な構図や、ダイナミックな構成は、力量の高さをしらしめす」と、述べられている。
 「私は一時期、『自分にはこんなマンガは描けそうにない。ボクはマンガ家になれそうもないな。まあ、毎日絵を描いて暮らせるなら、一生、石川さんのアシスタントでいられればいいかな』などと思っていたこともあった。」とも・・・・・。(「巨人獣 あとがき」 98)



 1999年「少年なつ漫王=27号」(アップルBOXクリエート=同人誌?)なる雑誌に、「石川球太大特集」がある。
 それに、なんと、石川氏の、「最新?!書下ろし漫画」が、載っている。石川氏の、子供時代の、自伝的作品である。それによると、かつての「絵物語」の「山川惣治」氏の作品が、とても、好きだったことが、描かれている。

 かつて、「漫画」と「劇画」に、分けて語られた時代がある。そして、リアルさを追求した、「劇画」は、「絵物語」から、発展したという、説がある。
 「石川球太』氏こそ、まさに、「絵物語直系」の、劇画家ではなかったか と、この特集を読んで、思った。

 




 石川氏のプロフィールであるが、彼に関しては、とても面白いエピソードが、いくつもある。

@昭和15年(1940年)横浜に生まれる。(谷口先生が、昭22年生まれですから、谷口先生より7歳年上ということになる。)

@すぐに信州の伊那谷に疎開(大戦中)。幼年期はそこで過ごす。このことが、後の、自然・動物ものを描く、きっかけとなったであろう。

@小学2,3年頃から漫画を描き始めた。

@1950年。横浜へ転校。手塚や山川惣治の漫画・絵物語が手軽に手に入るなるようになり、夢中になる。

@5年生から漫画少年に投稿するようになり、投稿すると何時も採用されるので、つまらなくなりやめてしまう。

@6年の冬休み3日間で『ポップの流線型事件』を模写してしまう。

@高校1年のとき、「手塚治虫」の仕事場訪問。暑い夏の日、パンツ1枚で、マンガを描く、手塚氏を見て、大感動。さっさと、高校を中退してしまう。(このことを、手塚は、早まったことをさせてしまったと、後悔したとのこと。)

@55年ごろ、永島慎二・赤塚不二夫・石ノ森章太郎らと、「描こう会」結成。

@鈴木光明・うしおそうじアシスタント。

@1956年 16歳!、『ななし野物語』でデビューする。

@58〜59、永島慎二・中城健・杉村篤・峰タロウ達と“武蔵野マンガプロダクション”設立。

@65年「牙王」執筆時、北海道取材。アイヌ民族の人々と、山野を、踏破する。

(@66年 谷口先生、アシスタントに加わる。)

@代表作。「ザンバ」「スーパーローズ」「牙王」「原人ビビ」「風のタナトス」「狼ジンギスカン」「巨人獣」「ウル」「人喰鉄道」など。

(@アシスタントとして、谷口先生が参加されたと思われる、石川作品。)







 

谷口先生アシタント時代のエピソードとしては、

♪) 最初の3・4年は、仕事場に、住み込みだった。居心地は良かった。

♪) 生活が、不規則。朝方寝て、夜起きて、仕上げるときは徹夜。昼間は、自由。

♪) 石川さんは、交友関係が、幅広く、大学生から、芸術家まで、そのなかで、多くの刺激を、谷口先生も受けた。

♪) 給料3千円。

♪) 酒を、覚えた。給料は、全部酒で使ってしまい、借金して暮らす。

♪) ビールのジョッキに、ウイスキーいっぱい注ぎ、いっき飲に飲んだら1000円といわれ、飲み干してしまった。

♪) 16〜18ページのものを、1晩から2晩で仕上げた。絵を描くのが、早いマンガ家だった。

♪) 「巨人獣」を描くのに、「奈良の大仏」を、見に行った。

♪) アシスタント時代のある夏休み、「自転車」で!、鳥取まで、帰省した事がある。このとき、背に届くほどのロンゲ(長髪)!だった。



 谷口先生も・・・・・、
「石川さんの仕事場で、過ごした時期は、私にとっての青春時代と言ってもよいのかもしれない。」
と、述べられている。





参考) 「少年なつ漫王=27号 石川球太大特集」(アップルBOXクリエート)1999  ・「こちら漫画家調査室(ウェブサイト)>石川球太の部屋」 ・「ビッグコミックオリジナル98増刊号」 ・「プレイボーイ82(13)」 ・「雑誌・紙魚83」・「鳥取NOW 60号 03」など。